2013年1月31日木曜日

今週の一枚(二枚目) SOUNDGARDEN「King Animal」

SOUNDGARDENはこれまで触れたことなし。

AUDIOSLAVEでクリス・コーネルの声にまんまとしてやられたクチで、
ソロもいいけど、もっとロックしてほしいなあと思っていたらSOUNDGARDEN復活ということで、
クリスコーネルの歌を聴きたさに初遭遇。

アルバム自体は去年の末に発売されてるんやけどね。

通しで聴いてみた印象は、色とりどり。

直球ロックンロールの、おどろくほど基本に忠実なリフなのに、いやだからと言うべきか、
この格好よさはなんなんやと言いたくなる#1とか#8があるかと思えば、
おそらく例えとしては的外れなんやろうけど
ブラックサバスのようなドゥームの雰囲気(グランジっぽいって言いたいけどグランジをほとんど知らんもんで)を持つ
#2(このリフはずるかっこいい)や#5(こいつもリフ一発勝負!)、#12(隙間だらけの音なのに重い!)とかがあって。

かと思えばケルトっぽさをほのかに漂わせた#4、
#6は美しいメロディ(と、それを歌い上げるクリスコーネル)が危うさとともにふわふわと浮いてるし、
ブルージーでじっくり歌う#7と同じくブルージーながら土臭さ満載の#9。
ぎりぎりのところで美しいところに踏みとどまった#10(コードの展開がDizzyMizzLizzyのよう)とかもあったり。

全体に共通する空間のねじれ方なんかはもはやサイケですらあるのかも。

独特の音世界で、特に耳を惹くのは、
もちろんクリス・コーネルの歌もそうなんやけど、
個人的にはベースかな。

#6みたいな曲でうねうねさせるってのはなかなか思いきったというか無茶というか、
で、これがばっちりきまるんやからすごいわ。

ベースが土台を支えながら自己主張するロックって、
年齢とともに良さがわかるようになってきたなあ。
そういやまともにベースを弾き始めたのもここ数年やし。
俺自身がおとなになったのか、円熟ってやつなのか、
はたまた枯れてもたのか。
ま、枯れるのもそれはそれでええかなと思ったりも。

でもこのアルバム自体は、枯れた、あるいは昔のロックの良さをふんだんに盛りこみながらも、
けっしてオトナとして落ち着いたりはせえへんでと言わんばかりの毒々しさがあって、
刺激的で淀んでいながら、同時に美しい、そんなアルバムかな。

個人的には#1#2#6#10#12が当たりでした。

今週の一枚 CAGE9「How To Shoot Lasers From Your Eyes」

 このバンドは「Chaos Morning」という

日本独自企画のアルバムに収録されているPlanet Me」という曲が抜群に良くて。

あまりこういう言葉を乱発せえへんほうがいいんやけど、ま、はっきり言うと名曲でして。

 

ただ、その曲の印象が強いまま、

以降のアルバムは特に聴くことなく流してたんやけど、

たまたま店の視聴機に入ってる

去年の末に出たというこのアルバムを聴いてみたら、

ええやん、となり。

 

ロックであり、現代音楽でいうパンクでもあり、

ちょっと前に言われていたエモっぽくもあり、たまにグランジの要素も出てきたり。

 

ようするに大音量で聴きたいどストレートなロックソング。

 

中でも#1の即効性は際立ってる。

あえて言いきるけど、「Planet Me」に匹敵する!

 

否応なく体を動かしたくなる躍動感。

噛みつく勢いやけどメロディの歌いあげを忘れないヴォーカル。

二番のAメロの変化なんかも、思いっきり聴き手をくすぐってくれて、めちゃめちゃ格好いい。

 

そこから#2っていう流れがまたええのよね。

#1よりも普遍的なロックで、

メジャー進行のサビから大メロの展開はお約束ながらもたまらんね。

こういうのは運転中にがっつり流していたい。

 

他にもイントロを含めてギターが冴えてる#3とか、

不穏なAメロと耳になじむサビが印象的で、なぜか何度も聴いてしまう#4、

思いっきり王道アメリカンロックバラードの#8、攻撃的な音から聴き手をはっとさせるフックの効いたサビ#9、

あたりが好物。

 

たまたま見つけたにしては購入以降、しつこく聴き続けているので、

今週の一枚に取り上げ。

 

でもひとつだけ文句を言いたい。

 

このアルバム、歌詞・対訳・解説はウェブサイトを参照とのことです。

 

「続きはウェブで」がここまで波及したのか的商品は、売り方としても有り方としてもどうなん?って思わずにはいられない。

 

そのかわり\1,500という価格を考えると、これはこれでありなのかなとも思うけど、

輸入版CDの中にはブックレットがどえらくおざなりなのもあったりしてそろそろ慣れつつあったりもするけど、

なんかやっぱり物足りへんなあ、というのも本音。

 

中身がものすごくいいだけにね。

2013年1月23日水曜日

今週の一枚 BLACK VEIL BRIDES「Wretched and Divine」

このバンドがどんなものかを伝えるには、バンドメンバーの写真を見ていただくのがいちばん。

 

もろです。

ものの見事なLAメタル。

 

初期Motley CrueとかRATTとか、獣っぷり満開なときのWASPとか、あんな感じのメイクで、

曲調、リフ、聴きやすい歌メロ、一緒に歌えるコーラスにいたるまで、徹底的にLAメタル。

 

前作「SET THE WORLD ON FIRE」アルバムからPVとして切られた「Fallen Angel」の、

開き直りというか吹っ切れというか突き抜け具合におどろいて、

でもなんとなく聴くタイミングを失っていて、

今回新作が出たしこれを機に、とアルバムを購入して真正面から向き合ってみたわけやけど。

 

第一印象はあれ?と。

LAメタルちゃうぞ、と。

 

イントロ#1からの#2が、予想外の正統派メタルソング。

サビメロはキャッチーやけどダークで、LAメタルのような明解さじゃなくて。

演奏は思いのほかテクニカルで、このバンドこんなにうまかったっけ?と驚きつつ、

疾走感の気持ちよさとか声の太さもあいまって、

乱暴に例えるならAvenged Sevenfold(以下A7X)のよう。

ギターソロもひっくるめて、A7Xっぽいんよね。

 

もともとA7XってGUN'N ROSESが持ってるロックンロールとかパンク要素に

LAメタル的な毒を含ませて、

欧州メタル、特にBlind Guardionのような展開の妙味を合わせて、

しかもおそらくメンバーがそこまで計算せず(ひょっとしたらBlind Guardianをメンバーは知らない)、

むりやり混ぜこんでできた突然変異的なバンドなわけで。

 

ということは、このアルバムにおけるBlack Veil BridesもBlind Guardianっぽいと言えるし、

もっと言うならHelloweenにも相通じるところがあって、

このアルバム、Helloweenと一緒の売り場で視聴機に入れたら

かなりの勢いで購買意欲をそそるんちゃう?なんてことを思ったり。

 

今回は壮大なストーリーアルバムとのことで、

なんか支配者として教会政府とかいうのがいて、

そいつらに反発するワイルドワンズというのがヒーローで、といった話らしく、

だから音楽面でもただハッピーなヘヴィメタルじゃないのかも。

 

そういうある種の深刻さ、まじめさが根底にあって、

パーティしようぜ、ロックしようぜという能天気さで勝負していないのは続く#3以降も顕著で、

#5なんかはリズムは遅め、サビメロのスケールが大きくて、

このバンドに求められている音とはちがう気がする。

ちがう気はするけど、けっして色物の音ではないし、

メタルファンが鼻で笑い軽んじるようなのではない。断じてない。

 

あのね、ええのよ。

 

アルバムの完成度の高さっていうのは#5とか、続く#6のような、

主題とは別の脇を固める曲がいかに魅力的かで決まると俺は個人的に思ってるんやけど、

#6がまたよくてね。

 

物語の起承転結で言うなら承あたりに位置するのかな?

曲自体がだんだん盛りあがっていく構成で、物語への期待感を煽る役割。

まさにメタル、ライブで大合唱まちがいなしのサビもひっくるめて、よい。

 

その期待感を受けての#8は、

歌いっぷりがBullet For My ValentineかTriviumか、といった雰囲気の現代的メタルソングで、

やっぱりコーラスに掛け声を入れるところは「らしさ」を忘れず、

アップテンポになるソロパートでは、タッピングのツインリードを、でもやりすぎないところにプロ精神が感じられて、

このバンド、こんなにうまいとは思わんかったなぁ。

 

演奏もそうやけど、特にヴォーカルがね。

ルックスは女性受け、はっきり言うと男が嫌いそうな部類なんやけど、

荒々しさと粗暴さにあふれながらも実は丁寧に歌いあげてる歌は、

男リスナーにこそ訴求しうるんちゃうかな。

 

その歌の魅力ががっつり来るのが、#9。

 

バラード調、暗くて陰鬱で、うっそうとした森のような序盤では、

耳元で歌われてるぐらい声の響きが生々しくて、表現力がずば抜けてる。

そこから視界が一気にひらけるサビかものすごく魅力的。

断言してまうけど、めちゃめちゃかっこういい。

この人、歌、うまいわ。

そしてテクニックは抑え目で泣きまくったギターソロ。はまった。ええ曲や。

 

このアルバムは、くり返すけど、ストーリーアルバムということで、

曲と曲の間にSEなんかの演出もふんだんに盛りこまれてて、

でも、ちょっとやってみました、程度のものじゃなくかなり本気。

 

#5とつなげて一曲にしてしまったほうがよかったんちゃうのと言いたくなるほど効果的な#4。

音からかもしだされる退廃の度合いが、実は俺こういうの大好物なんよ、の#7。

そして前半折り返しの#10。

このストリングスは反則やね。主題となるメロディをこういうアレンジで聞かせるところがにくい。

 

後半は#11でいきなりの三連符。

A7X好きなら確実にやられる、ダークかつ耳に残るフックの曲で幕を開けるけど、

やはりこれでしょ、の#13から劇的に、終わりまで一息でつっ走ります。

 

おそらく、#13のような曲こそ、このバンドに求められている音やと思う。

リフ、サビのメロディ、リズム、Bメロからサビ、一回聴いただけで耳に残るサビメロ。

すべてがいい意味で直球のLAメタル。

 

いや、露骨な物真似とか、オマージュという逃げ口上を乱用したパロデイのそれじゃないから、

LAメタルという言葉で表現するのは、もはやちがうのかもしれん。

このバンドをとても好意的に受け入れられるのは、

影響としてのLAメタルはあれど、あくまでバンドならではの音を追及してるからなんよね。

 

楽曲もそうやし、音の作り方も(これは多分にエンジニアの力に拠るところが大きいけど)

スネアは80'sを思わせるドンシャリ気味でありながら、

バスドラは現代ロックのダイナミズムに負けない抜けのよさ、

空間系のエフェクトは控えめ、

それぞれの楽器の粒を立たせたミックスの心地よさで、

そういう意味でもただの80'sフォロワーで片づけるべきではない、気がする。

 

まあそんなことどうでもいいから楽しめよと言わんばかりに#14から最後までがっつり来るんやけどね。

 

やわらかめの小曲で、雲間から光が差し込むような展開で耳を奪われた#14から、

これまたこのバンドらしいアップテンポ、イントロでいきなりテクニカル、

展開はらしさ満載、でもサビはあまり甘くなくて、ソロはひきまくりの#15と来て、

壮大なバラード、#16。

 

#16はね、ロックバラードとはこうあるべし、みたいなお手本のよう。

前半で盛りあげきらないところが、聞き手の心をくすぐるのよ。

こういう芝居がかった世界って、好き嫌いはあるやもしれんけど、俺は好き。

前半のもどかしさが後半で壮大に爆発して、ギターソロも炸裂。

ここまでやられりゃ泣けるわな。

 

で、名曲#18ですよ。

 

そもそも#18は#17とセットで考えたほうがいいし、

アルバムの流れの中で、最後の最後に出てくるから名曲なのだけど、

この曲はね、あかんよ。イントロからぐっと来る。

#10で出していた主題のメロディがここで帰結するところも抜群の演出やし、

ロックソングの勢い、メタルの力強さ、美しいメロディ、

ライブでの盛り上がりも意識したコーラス、すべて内包されてる。

ギターソロからのアレンジもいい。やっぱりこういうバンドはギターが弾きまくってこそやね。

 

当時の空気を経験しているわけではないから

ひょっとしたら的外れなことを言うてるのやもしれんけど、

メタルやロックにかぎらず80'sは、歌ものが最もみがかれた時期だと思っていて、

だからこそ80'sの要素を持ったバンドなりアーティストに惹かれる傾向が俺にはあるんやけど、

80'sの要素をここまでうまくとりこんで自分たちのものにしたバンドというのも

そうはおらんのちゃうかな。

 

PVなどを観たら、外見に拒否反応を示すヒトもいるやもしれんけど、

ロック好きを自認するならぜひ一度お試しを。

 

 

2013年1月20日日曜日

今月の一冊 スコット・マリアーニ「終わりの日 黙示録の預言」

この小説、端的に言うと上質な娯楽作品です。

 

元々、俺が読書という行為に求めているのはおもしろさであり、

物語に身を委ねる没入感であり、

俺自身もそんなふうに不特定多数の方に現実を忘れて楽しんでほしくて小説を書いてたりもして、

そういう俺みたいなもんにとってこの本は、

欲しているものをきちんと満たしてくれるものでした。

 

こういう上質な物語を定期的に摂取したくなるんよね。

 

タイトルからおわかりのとおり、主題となるのはヨハネの黙示録です。

黙示録。預言。福音主義。

そういったものが物語の核をなしていて、

かなり深く取材して預言関連は構築されているんやけど、

キリスト教の禁忌に挑むとか、宗教史に隠れた謎を解き明かすとか、

信仰とは、ヒトとは、終末論の先に待つ未来とは、そこに希望はあるのか、などといったことではなく、

純然たる娯楽作品として駆け抜けていきます。

 

いっぱい取材して、もっともっと書きたいやろうに、

そこを削って娯楽作品としての完成度にこだわるこの潔さ。

 

著者のあとがきに、

「ベン・ホープはフィクションのヒーローであり、ヒーローは悪役なしには存在し得ないのだ!」とあるように、

この小説は徹頭徹尾、ヒーローとしてのベン・ホープの物語です。

 

このシリーズはこれが三作目だそうで、

おそらく二作目あたりに書かれてるんやろう、つらい出来事をひきずった状態で幕を開けます。

 

シリーズもので、前作からつながってはいるけど、つながっているのは登場人物の立場だけ。

物語の幹の部分は独立しているから、過去作を知らなくてもすんなり入りこめます。

海外ドラマをシーズン2から観る感覚に近いかな。

おもろいものってたとえ途中からでも問題なく観ることができて、のめりこめるものね。

こういう構成はうまいなあ。前作を読みたくなるもんね。

 

で、主人公ベン・ホープさんですけど、

これがまた見事なまでのヒーロー。

八十年代アクション映画の主人公のごときタフガイっぷり。

いついかなるときも泣き言なんて吐きゃしないし、

どんな困難も頭脳と肉体をフル回転して打開。そして基本の戦闘能力は常にチート状態。

 

でも都合のいいスーパーマンではないから一人で対処するには限界もあって、

危機は訪れるし、けっして自分に弾はあたらないアクションヒーローではないし、

冒頭からひきずるつらい出来事のせいで影を落としてたりもして、

それもあってかつて学んでいた神学の道を志して復学し、

今回の主題であるヨハネの黙示録とからめていたり。

 

こういうところのうまさ、上質な感じが、大好きなのよ。

 

敵は敵で、もう見事なぐらいの悪役、やられ役に徹しているのも良い具合です。

敵側に様々な設定やら物語があると、アクション部分で眼と意識がばらけてしまうけど、

この作品ではやられ役に求めているものはこれだけ、と割り切って撃たれまくります。

ターミネーター2では強烈な存在感を残したT-1000役のロバート・パトリックが、

ダイハード2では空港の動く歩道で

おどろくほどあっさりやられるオライリー役(そんな名前、劇中では出てこんけどね)に徹するあの感じ。

自分の仕事をちゃんと理解して、きちんとやられてくれるプロフェッショナルなのを、

この作品の悪役からは感じます。誉めてます、心から。

 

主人公、悪役だけでなく脇役も味わい深いです。

 

物語は二転三転して、その二転三転でどんどん読み進めていけるから、ここでは割愛しときますけど、

ギリシャからアメリカ、そしてエルサレムへと舞台が移りながら、

要所要所で必ずアクション小説、娯楽小説ならではの「おいしい」役が現れます。

 

ギリシャの諜報員に始まり(ベン・ホープは諜報員に実はこうこうこうなんだ、僕のほうが能力が上なんだ、と

懇切丁寧に説明してあげるお茶目さん)、アメリカでは詐欺師に続き悪どさ百パーセントのCIA

ファンキーな農場主(いったい誰がその機関銃を手入れしてたの?

いくらなんでも錆びとかですぐには使えんでしょ?なんてつっこみはしちゃだめ)

ハードボイルドのお約束であるラブロマンスの要素をちりばめられてたりもね。

 

とにかく頭をからっぽにして楽しみやがれ、という書き手の声が聞こえてきそうなほどの娯楽っぷり。

 

そして娯楽作品として、これは見事!と思ったのは、エルサレムでの描写かな。

とある悪役を探すシーンなんやけど、ここで序盤の伏線をうまく活かし、

くどくど説明することなく、しかし大いなる説得力でもってベン・ホープを悪役まで導いた作者の手腕がね。

 

まいった。うまい。

 

おそらく読んでいたらさらりと流してしまうところやと思うのよ。

ミステリー小説の謎解きみたいに明解な驚きでもって書かれているわけやないから。

 

でもこういう、整然とした理論というか、完璧な数式というか、

すべてがあるべきところへ収まる整合性、その整合性を起因としたカタルシスがね。

 

読んでいて気持ちがいいんですよ。

 

終盤はエルサレムのその描写だけでなく終わらせ方もすっきりしてて、

悪役の片づけ方は最高やし、ラブロマンスの決着もハードボイルドらしい。

 

それでいて、もやっとさせてくれるところもあって、

最後のシーンでの主題にからめた主人公の行動。

 

結末をここに持ってくるところは、すごい。

すっきりした読後感であると同時に、じゃあ次の話でベン・ホープはどうなってくの?と思わせてくれます。

こんなん、次も読むしかあれへんやん、となります。

俺はなりました。 

 

そんなわけで、いい栄養をいただきました。

2013年1月18日金曜日

今週の一枚 HELLOWEEN「Straight Out Of Hell」

 まず最初に。

今回のアルバム、個人的な印象は安心して聞ける、いつものハロウィンです。
いつものといっても悪い意味ではなくね。

ハロウィンの代名詞と言ってもいい、
疾走するリズムに童謡のようなメロディが乗ってハイトーンヴォーカルが歌いあげるというスタイル、
ある種の「キーパーサウンド」はストラトヴァリウス(ティモ・トルキ脱退前後から音を変えたけど)とか
最近ではドラゴンフォースあたりで発展形を聴くことができるけど、
実はアンディ・デリス加入後(特に「The Time Of The Oath」アルバム以降)のハロウィンの主力ってそっちじゃなく、
適度にシリアスで、適度なコミカルで、
でもどんなに重い曲もずしんとのしかかるほど重くしすぎないし、
どんなにポップで能天気な曲でも明るくしすぎないし、
どこかにシリアスさを保ちながらもシリアスになりすぎず、
何よりメロディがやたら格好いいメタルソング、というのが特徴だと思っていて、
そういう意味で今回も「いつもの」ハロウィンのアルバムだというのが第一印象。

CDの帯とか宣伝で
ポジティブとかハッピーとか復活!と煽っているけど
それらの言葉を鵜呑みにしてしまったら冒頭の#1#2で首をかしげるヒト多数やと思います。ご注意を。

#1がいきなりアップテンポながらシリアスな曲やもん。
重く暗い雰囲気は、前作からのつながりを意識した曲かも?
2分48秒くらいからの展開がドラマティックで、アンディ期ならではのメタルソングかな。

#2も、スピードソングではあるけれど
ハロウィンのあのメロディックスピードメタルかと言われると、いや、ちゃうやろ、と。
鬼ピッキングのリフもハロウィンのそれとちがってえぐいものやし、
Aメロのアンディの太い声はこれまでにない新しい魅力。つきつめたらモーターヘッドのレミーみたいになるやも。
劇的なサビは、アンディ期のハロウィンの得意技。甘くならないこのサビがメタル好きの耳には心地いい。
こういう曲がハマるのはたぶんアンディだけやね。
ライブではタイトルも曲調も関連性があるから「Before the War」と合わせて演奏してほしい。

このアルバムでポジティブになるのは#4。

この曲はね、今回のキーポイントですよ。
曲調は「キーパーサウンド」で、
意地の悪い言い方をするなら
サビメロは「Eagle Fly Free」のメロディをいくつか変えただけと言えなくもないけど、
ここまでの完成度の高さで似て非なるものを用意されると、
その「Eagle Fly Free」でメタルに目覚めた俺みたいなのは、はい、まいります。
キーの問題なのか、「Just a Little Sign」よりシリアスで重く感じるけど、
こういう曲、ハロウィンにしかでけんのよね。
ポップなツインリードもならではやし、大メロは、問答無用! これぞハロウィン!

#4に続けての#5、#6さらに#7でこのアルバムの評価は決まるでしょ。
この流れでやられたヒトは、このアルバム、少なくともここ何作かでのベストアルバムになること間違いなし。

#5はAメロで、あんたはウド・ダークシュナイダーか!
と言いたくなるほど乱暴な歌い方をするんやけど、
Bメロからの展開が熱くて、サビメロのひと手間が、もうね、にくい!

そして#6。
ダークライドからやっているピアノイントロのミディアムテンポナンバーなんやけれど、これがね、いいのよ。
サビのピアノアレンジが、はっきり言ってずるい。泣きメタル。
最終決戦前とか、あるいはエンディングのスタッフロールとかで流れてくれたら確実に泣けるやつ。
俺が泣くってことやけど。
アンディのメロディセンスはやっぱりすごいわ。

で、バラードの#7ですよ。
アンディは叫ぶより歌い上げるほうが魅力的やね、とか思いつつ聴いていたら、
この曲のサビメロ! 卑怯!
#6からの流れでこのサビは、ずるすぎる。完全に泣かせにかかってるやん。泣くに決まってるやん。
これも俺が、ね。
こういうのに、とことん弱いのです。

ここまででも完成度が高いのに、
サビでとびっきりハピネスがはじける、あえて言うならガンマ・レイ的な直球メタルチューンの#9、
スピードチューンなのにAメロを淡々とした歌メロで攻めて、#9同様にサビでポップに方向転換する#11、
と来て、
やっぱりアンディ期のハロウィンの主力はこれでしょ!のシリアス寄りメタルソング#12、#13。

ということで総評。
今回もいつものハロウィンのアルバムです。
ただ、予想以上にものっすごくよかったです。

だって、ハロウィンもこれで14作目だそうで、
いいかげんマンネリになるやん、聴く側としては。
せやからね、実はそんなに期待してなかったんですよ。
このバンドなら必ず一定水準以上のアルバムに仕上げてくると知っているけど、
そんな飛びぬけることもないやろな、と。
もし印象の薄いアルバムなら一緒に買ったBlack Veil Bridesのアルバムについて書こうかな、
とすら考えていたので、
あの、ホント、すんませんでした。

これは昔からのメタルファンにも、若いメタルファンにも、
さらには、メタルは知らないけど激しすぎるのはきつくて、甘いロックも物足りない、
そんなヒトにもお勧めできるアルバムです。

2013年1月15日火曜日

酔っぱらった勢いでようやく自分の受賞者動画を観る。

はい、タイトルのままです。
実はずっと避けてました。だって自分が動き喋る映像なんていたたまれへんもん。
 
でも、ずっと観ないわけにもいかへんし、ということで焼酎の力を借りて
とりあえず観ました。
 
感想としては、やっぱりプロの力はすごいなぁと。
 
自宅関連での撮影には、実は一日半かかっています。
その間、とりとめのないことをだらだら喋っていた印象しかありません。
そんなだらだらしっぱなしだった俺の喋りを
七分ちょっとの映像できちんとまとめているのですから、
なんというか編集作業、大変やったやろなあ、と。
 
個人的にもいい経験でした。
 
図書館に入るシーンでたしか2テイクぐらい、
自転車も3テイクか4テイクか、
「あなたにとって小説とは」という質問の答えにも
3テイクぐらい録り直したはずです。
 
一瞬だけ舞台演劇をかじった俺としては、
映像作品の撮影というのはこんな感じなのかも、と気づいたり、
おそらく気持ちと流れをつくる舞台とは求められるものが全然違うんやろなあと感心したり、
しかし演者がひどいな、と焼酎が入った器を投げつけたくなったり。
 
演者はひっどいけど、撮影班は本当にプロなのです。
 
自転車の撮影時に、
並走する自動車の助手席からフレームイン・アウトを的確に指示していただき、
実は借り物の自転車を我が物のように疾走する姿を演出していただきました。
 
俺が運転している映像も、カメラマンさんにはかなり無茶な姿勢で撮影をしていただきました。
大量の機材をパズルのように車につめこむのもひっくるめてプロの仕事を見ました。
 
映像ではなぜかタオルのくだりが使われていましたが、映像の撮影は九月初旬の炎天下でしてね。
俺もけっこう汗をかいてたけど、実は現場ディレクターのほうが汗だくだくで、
質問されるこっちが心配になるほどだったのを思いだします。
ちなみにあのタオルは現場を統括されていた方からの借り物。
借り物をしょうもない話に使い、しかも投げつける非礼さったらないね俺ってば。
 
賞をいただかなければ、応募しなければ、本を書かなければ、
撮影スタッフさんと出会うことも、映像撮影なんぞされることもなかったわけで、
ありがたい経験だったなあと思います。
 
でも一度観たので、次に観るときは十年後ぐらいになるでしょう。
 
あ、それと、ひとつだけいらんことを追記します。
 
私の名前、「俊介」のローマ字は「syu」ではなく「shu」でお願いしたかったです。