2013年1月18日金曜日

今週の一枚 HELLOWEEN「Straight Out Of Hell」

 まず最初に。

今回のアルバム、個人的な印象は安心して聞ける、いつものハロウィンです。
いつものといっても悪い意味ではなくね。

ハロウィンの代名詞と言ってもいい、
疾走するリズムに童謡のようなメロディが乗ってハイトーンヴォーカルが歌いあげるというスタイル、
ある種の「キーパーサウンド」はストラトヴァリウス(ティモ・トルキ脱退前後から音を変えたけど)とか
最近ではドラゴンフォースあたりで発展形を聴くことができるけど、
実はアンディ・デリス加入後(特に「The Time Of The Oath」アルバム以降)のハロウィンの主力ってそっちじゃなく、
適度にシリアスで、適度なコミカルで、
でもどんなに重い曲もずしんとのしかかるほど重くしすぎないし、
どんなにポップで能天気な曲でも明るくしすぎないし、
どこかにシリアスさを保ちながらもシリアスになりすぎず、
何よりメロディがやたら格好いいメタルソング、というのが特徴だと思っていて、
そういう意味で今回も「いつもの」ハロウィンのアルバムだというのが第一印象。

CDの帯とか宣伝で
ポジティブとかハッピーとか復活!と煽っているけど
それらの言葉を鵜呑みにしてしまったら冒頭の#1#2で首をかしげるヒト多数やと思います。ご注意を。

#1がいきなりアップテンポながらシリアスな曲やもん。
重く暗い雰囲気は、前作からのつながりを意識した曲かも?
2分48秒くらいからの展開がドラマティックで、アンディ期ならではのメタルソングかな。

#2も、スピードソングではあるけれど
ハロウィンのあのメロディックスピードメタルかと言われると、いや、ちゃうやろ、と。
鬼ピッキングのリフもハロウィンのそれとちがってえぐいものやし、
Aメロのアンディの太い声はこれまでにない新しい魅力。つきつめたらモーターヘッドのレミーみたいになるやも。
劇的なサビは、アンディ期のハロウィンの得意技。甘くならないこのサビがメタル好きの耳には心地いい。
こういう曲がハマるのはたぶんアンディだけやね。
ライブではタイトルも曲調も関連性があるから「Before the War」と合わせて演奏してほしい。

このアルバムでポジティブになるのは#4。

この曲はね、今回のキーポイントですよ。
曲調は「キーパーサウンド」で、
意地の悪い言い方をするなら
サビメロは「Eagle Fly Free」のメロディをいくつか変えただけと言えなくもないけど、
ここまでの完成度の高さで似て非なるものを用意されると、
その「Eagle Fly Free」でメタルに目覚めた俺みたいなのは、はい、まいります。
キーの問題なのか、「Just a Little Sign」よりシリアスで重く感じるけど、
こういう曲、ハロウィンにしかでけんのよね。
ポップなツインリードもならではやし、大メロは、問答無用! これぞハロウィン!

#4に続けての#5、#6さらに#7でこのアルバムの評価は決まるでしょ。
この流れでやられたヒトは、このアルバム、少なくともここ何作かでのベストアルバムになること間違いなし。

#5はAメロで、あんたはウド・ダークシュナイダーか!
と言いたくなるほど乱暴な歌い方をするんやけど、
Bメロからの展開が熱くて、サビメロのひと手間が、もうね、にくい!

そして#6。
ダークライドからやっているピアノイントロのミディアムテンポナンバーなんやけれど、これがね、いいのよ。
サビのピアノアレンジが、はっきり言ってずるい。泣きメタル。
最終決戦前とか、あるいはエンディングのスタッフロールとかで流れてくれたら確実に泣けるやつ。
俺が泣くってことやけど。
アンディのメロディセンスはやっぱりすごいわ。

で、バラードの#7ですよ。
アンディは叫ぶより歌い上げるほうが魅力的やね、とか思いつつ聴いていたら、
この曲のサビメロ! 卑怯!
#6からの流れでこのサビは、ずるすぎる。完全に泣かせにかかってるやん。泣くに決まってるやん。
これも俺が、ね。
こういうのに、とことん弱いのです。

ここまででも完成度が高いのに、
サビでとびっきりハピネスがはじける、あえて言うならガンマ・レイ的な直球メタルチューンの#9、
スピードチューンなのにAメロを淡々とした歌メロで攻めて、#9同様にサビでポップに方向転換する#11、
と来て、
やっぱりアンディ期のハロウィンの主力はこれでしょ!のシリアス寄りメタルソング#12、#13。

ということで総評。
今回もいつものハロウィンのアルバムです。
ただ、予想以上にものっすごくよかったです。

だって、ハロウィンもこれで14作目だそうで、
いいかげんマンネリになるやん、聴く側としては。
せやからね、実はそんなに期待してなかったんですよ。
このバンドなら必ず一定水準以上のアルバムに仕上げてくると知っているけど、
そんな飛びぬけることもないやろな、と。
もし印象の薄いアルバムなら一緒に買ったBlack Veil Bridesのアルバムについて書こうかな、
とすら考えていたので、
あの、ホント、すんませんでした。

これは昔からのメタルファンにも、若いメタルファンにも、
さらには、メタルは知らないけど激しすぎるのはきつくて、甘いロックも物足りない、
そんなヒトにもお勧めできるアルバムです。