2013年2月21日木曜日

たまには独り言を

まずは長編の執筆状況について、自分のための記録もかねて。
 
2012年末に渡していた長編は担当編集氏の反応かんばしくなく、
とりあえず保留ということに。
 
編集氏からの反応で、第一声に「おもしろかった」が出てこないと、
世に出してもけちょんけちょんに叩かれるだけやからね。
 
その長編は昆虫擬人化もので、
自分にとって重要なアイデアやから、
いつかそれを基に改稿して勝負したいなと思っているけど、
とりあえずは横に置いておこかな、という結論に。
 
同時進行中の短編は、
担当編集氏からの第一声が「いやぁおもしろかったです」なので、
さらに書籍の担当編集氏からも大事に育てていきたいという言葉をいただいているので、
きちっと仕上げるつもり。
 
発表に向けての道程はまったく決まっていなくて、
いつ出せるのか、そもそもこの形で出せるのかという不安はあれど、
編集氏からの第一声を忘れず、
完成度を高めていこうかと考えています。
 
終わりがまったく見えない状況での作業は、きっついけどね。
 
仕事関連では、
三月になったら小さめのものについてツイッターなどでつぶやけるかな。
こっちの仕事は、何とかして次につなげたいなあ。
 
もう一社、声をかけていただいているので
具体的な企画を提案できるように今からいくつか仕込んでおかにゃ。
せっかく読んでいただいて、声をかけてくれたんやから、
命がけで取り組まんとバチがあたる。
 
ノートパソコンは、
SSDは見送ってHDDを新たに搭載することで決定。
現在の主流が、32MBのSSDをキャッシュ用にして記録領域はHDDでというハイブリッドなので、
ということはSSDは記録媒体としての信用度にまだまだ問題があるんかな、と考え、
7200rpm、500GBのものに。
 
それまで搭載していたのが5400rpmなので、
回転数があがり、さらに4Kセクタになることで書く速度もあがって
Cubaseの動作も安定するかなと期待。
うまくいけば外での歌録りが楽になるかな。
今までがきつかったし、換えたいなと思っていたから、いい機会と言えなくもないか。
 
しかし、あれやね。
困ったもんで低反発のパソコンケースって、
思うほど低反発ゆえの恩恵はあれへんのね。
全然衝撃を吸収せず、ちょっと落としただけやのに一撃でクラッシュするんやもん。
 
ということはそういうことなわけで、
故障の原因は酒飲んだあと、そうや推敲しとかな、とノートパソコンを手に取った際にばっちり落としたのが原因です。
困ったもんなのは俺自身やったりします。
 
それと、仕事とはまったく関係ないけど、
この雑記で音楽についてだらだら書いていたら、
香港のレーベルなのかな、今度こういうアルバム出すから聴いてみて、といった趣旨のメールが来て、
プロモ用のデータなどをもらいました。
 
マスメディアに扱われない作品のプロモーションやからって、
影響力もアクセス数もあれへんウェブサイトの管理者にまでアプローチする草の根っぷりは、
なんというか、必死やなぁと思うんやけど、
俺こそ必死になって草の根のプロモをやらなあかん立場やからね。
がんばらななあと気持ちをひきしめた次第。
 
で、その音なんやけど、
もうこれが、キワモノ好きのマニアの心をくすぐるメタルっぷりでして。
発売は3月29日らしいので、
まず間違いなく日本盤が出ることはないやろうけど、
来月あたりに雑記で取りあげるつもりです。
 
最後に、さっき入ってきた飯野賢治の訃報について。
 
突然のことに言葉が出てこないというのが本心。
Dの食卓は、「夢見館」のシステムが好きやったから楽しめたし、
エネミーゼロは、FPS全盛の今こそ出すべきやったんちゃうのと思ってしまうし、
Dの食卓2は、物語とかエンディングにいろいろと問題はあったけど、
雪山の表現とかタイトル画面の音楽とか、印象深かったなあ。
 
あと、リアルサウンド〜風のリグレット。
 
ようするに選択肢がある音だけのノベルゲームやねんけど、
菅野美穂と篠原涼子の演技が絶品でしてね。
特に篠原涼子の「ハミガキ粉の味がする」というセリフは、
音だけやのに情景が浮かぶ、すばらしい芝居やったなあ。
 
最近の氏はゲーム業界から遠ざかっていたし、いつか再びゲームを、という期待を持っていたわけではないけど、
さすがに若すぎる死に衝撃を受けました。
 
ご冥福をお祈りします。

2013年2月13日水曜日

今週の一枚 ZEDD「Clarity」

ドイツ出身の23歳。
エレクトリックミュージックのDJ、プロデューサー。
これがファーストアルバムとのこと。

エレクトロニカは完全に門外漢でして。
むしろ昔は、機械リズムなんて、と鼻で笑うほど嫌いだったりしまして。
十数年前にやっていたMIDI打ちこみのわずらわしさにうんざりしたという、
自分勝手極まりない理由のせいですが。

寛容になったと言うべきか、エレクトロニカもええやんと思うようになったのは、
おそらく数年前、「MIRROR'S EDGE」というゲームにふれたあたりかな。

このゲームの音楽をSOLAR FIELDSというエレクトロニカのアーティストが手がけていて、
これがまたゲームの無機質な都市と見事に融合していて、
ドラマの演出という意味でもこれしかない!というほどの相性の良さだったことから、
エレクトロニカに興味を持ち。

しかし娯楽ってやつは、自分から追いかけてもなかなかいいのにめぐり合えなくて、
偶然出会うからこそ「おお!」と衝撃を受け、その作品が特別なものになったりするわけでして。

なかなか耳にすとんと落ちてくれるエレクトロニカとは出会えず、
LATE NIGHT ALUMNIをちょこちょこ聴いて、
あとはリアーナあたりでエレクトロニカ欲求を満たしていたところに、
リードトラックの#3と出会い、
これなんよ、求めてたのは!となったわけです。

いかにいい曲かを伝えようとするのって本当に難しいんやけど、
言葉にするなら#3は、哀愁の漂う適度にポップなダンスナンバー、とかになってしまうんかね。

そういうこっちゃないんよね。

歌やメロディに含まれる魂みたいなのがすっと聴き手のいちばん奥に遠慮なく入ってきて、
聴覚の刺激でしかなかったものが視覚やら触覚やらに(ヒトによっては嗅覚にも)影響を及ぼして、
ただの音楽でもただの映像でもない世界が眼の前とか頭の中とかに広がって、
そいつらがどんどん拡散していって、ドラマが喚起されるこの感じ。

小説を読むことで、文章を読むという行為でしかなかったのが、
いつしか血と肉を持って読み手の体内でひとつの独立した生命のようになる、
あの感覚に近いのかも。

決して、気分を高揚するためだけのダンス音楽ではないドラマ性が、
ふんだんに盛りこまれててね。いいんですよ。

このアルバム、歌ものは六曲、インストは四曲の計十曲と潔い構成になっていて、
歌ものはすべて#3と同様の系統やから、
#3が気に入れば確実に他の歌ものも好きになれるというのがよいね
他の曲もいいんだ、これが。
とくに#6とか#9とかの、
崩壊した世界に昇る朝陽のまばゆい光!みたいなのが、直球に好み。

#4以外の歌ものが女性ヴォーカルというのも好印象。
俺が雄やからというのもあるけど、
エレクトロニカには絹のように柔らかい女性ヴォーカルこそ映えると思う。

個人的には、ヒトの声こそ最も魅力的な楽器と信じているのもあって、
インスト曲を熱心に聞こうってならんところは
エレクトロニカに対する興味の限界なのかな。

ま、それはともかく、たまたま#3PVを観て、
一発でやられて、
他の曲にも見事にやられて、
春ぐらいまで聴き続けていそうなこの作品。

熱心にエレクトロニカを追いかけてしまっていたら、
途中で疲れたり飽きたりして、
この作品には出会っていなかったかもしれなくて、
だからこそ娯楽との出会いは偶然という要素が重要やし、
偶然が必然に変わる瞬間がたまらんのよなぁと改めて実感した次第。

娯楽商材を出す側からすりゃ、偶然に頼ってたらいつまでたっても知ってすらもらえんがな、
という問題に直面するわけやし、
俺みたいな末席も末席の三流物書きにとっては
知ってもらえないというのは死活問題だったりするんやけどね。

たまたま手にとってもらえて、たまたま楽しんでもらえて。
俺の本もそんなふうになれたらなと切実に願う今日この頃。

願うとかなりたいじゃなく、ならにゃいかんのよなあ。

2013年2月9日土曜日

今月の一冊 セバスチャン・フィツェック「治療島」

日本での発売は2007年、少し前の小説。

 

帯にサイコホラーと謳われていて、

だから読んでみたというわけではないんやけど、

サイコホラーという言葉は簡潔かつ端的にこの作品を表してると思う。

 

だって、ものの見事なサイコホラーやもん。

 

こういう言い方はしたくないんやけどね、ほんとは。

小説にしろ音楽にしろ、がっちがちにカテゴライズするのって好きではなかったりするから。

カテゴライズすることによって「俺はそういうのええわ」と避けられることもないわけではないし。

 

拙著「絶対服従者(ワーカー)」でもそういうことがツイッター上であり、

SFは苦手やし、どうかと思ったけど楽しめた」旨を言うていただけたことがあって、

心の底から嬉しくて、

がっちがちなカテゴライズは必ずしも売るうえでプラスではないよな、と。

だって俺は自分の本をSFと認識したことは一度もなくて、

SFと意識して書いたこともないからね。

届けたい方のところに、SFという言葉が邪魔して届けられない、とかなると本末転倒ですがな。

 

ということで、この作品も一言、サイコホラーという言葉で片づけるべきではないんやけど、

しかしながらまごうことなきサイコホラーだったりしまして。

 

著名で、テレビなんかにもよく出ている精神科医ヴィクトルの娘が

突然行方不明になるところから物語は始まり、

場面転換すると精神科医ヴィクトルはかつて自分が患者を入れていた病室に自分が入ってしまっていて、

なおかつ拘束されているという状況。

なぜこうなってしまったのかということを若い精神科医に話し始める、というのが冒頭の筋。

 

書店で何かあれへんかなと物色していたら、

たまたまこの本を見つけて、

この冒頭で一気に好奇心と興味をかきたてられまして。

 

今思えば好奇心と興味がかきたてられた理由は不純なもんやったやもしれん。

翻訳小説にありがちな、「うっ、読みづらい」感がなく、

娯楽作品としてするっと読み手を導いてくれたから。

 

物語は精神科医ヴィクトルがそれまで滞在していたパルクム島での出来事と、

病室で若い精神科医と話しているふたつのシーンを行ったり来たりする構成で、

でも病室はちょっとした味つけ程度で、

主な描写はパルクム島で何があったかという部分に集中してます。

 

このパルクム島で、アンナという女性がヴィクトルをたずねてきたところから物語は、

文字通りサイコホラーの様相を呈していきます。

まあなんというか、ぐっちゃぐちゃにねじれていきます。

 

詳細はネタバレになるので一切を割愛。

でもそれじゃ感想ですらないから、ちょこっとだけ雑感を。

ある種のネタバレを含みますのでご容赦を。

 

この本、真相につながりそうな、鍵となる情報が、とにかく多い。

傍点の多用乱用。

終盤になるとさすがにお腹いっぱいやでとなったけど、

真相が明らかになったときに、ああなるほどね、と。

 

で、ここが文章で説明する際に難しいとこなんやけど、

その真相そのものは決して衝撃的なものではないし、

ミステリー小説によくある「ラスト数ページの衝撃!」みたいな煽りにしてしまうと

おいおい嘘つくなと言われること確定のものでして。

 

だいたいの読み手は途中から、

この話はこういうオチなんちゃうの?とか

あるいはこっちのやり方で締めるんかな?とか

想像すると思うのですが、

その想像を驚くほど逸脱することのない真相がつきつけられます。

 

ここまでやと、うそ〜ん、となるわけで。

実際、俺はがっかりしまして。

こんなんでええの?と。

いまどきこんなひねりも何もあれへんオチで許されるの?と。

 

この作品のすごいとこは、真相が明かされたあと。

 

何があったのかということが語られたあとで、

あとひとつだけ疑問が持ちあがります。

で、若い精神科医がヴィクトルに質問し、ヴィクトルが答えて、

真実がつきつけられるわけですが、

この真実が作品の肝。

 

ここでも決してミステリー小説によくある「ラスト一行の衝撃!」みたいなのはないです。

なんやろ。

じんわりと来るんよね。

狂気やら息苦しさやら、

途中で傍点を多用したり

どうせオチはこれやろ?と斜に構えたくなるぐっちゃぐちゃな展開の裏側にこっそり潜ませた、

真実につながる情報の断片が。

 

そうきたかぁ、なるほどなぁ、とため息を漏らしてしまうわけです。

 

その真実がカタルシスやからおもしろいとかすごいということではなく、

作品そのものの持つ力と全体を支配する陰鬱さによって、

読み手を心地よくひきこんでくれる作品でした。

 

ただ、ひとつだけ。

帯の裏にある「ダン・ブラウンより面白い!」とか

「フィツェックはダ・ヴィンチ・コードを超えた!」という文句(いずれも本国ドイツでの宣伝要素強めな評価)はね。

なんぼなんでも言いすぎでっせ。

 

そもそもダン・ブラウンとは方向性が全然ちゃうやん。

この作品を比較するならスティーブン・キングでしょ。

と言いたくなったけど、それはそれとして、おもろかった。

2013年2月6日水曜日

今週の一枚 BULLET FOR MY VALENTINE「Temper Temper」

ど真ん中の現代へヴィメタル。

 

音は刺激的。攻撃性もがっつり。

速い曲もふんだんに盛りこまれてる。

 

身も蓋もない表現やけど、いいアルバムです。

ものすごく好きなアルバムと言ったほうがええかな。

 

リフ主体の曲を主軸にしつつメロウなものを間に配置してる構成が絶妙やし、

くわえてリズム隊の心地よさがね。

具体的にはドラムのペダルワークとかスネアの前のりが、もろに好み。

 

真っ先に触れておきたいのは#12かなあ。

 

断言すんのもどうかと思うけど、

あえて断言してしまうけど、

#12はこのアルバムで最強の一曲。

 

のみならず、このバンドのキャリアにおいてもトップクラス。

イントロのえぐいリフ。弾きまくりのリード。

爆走するリズム。それでいてフックも抜群。

 

メタル好きなら熱くなること請け合いです。

個人的には「Scream Aim Fire」と同じくらい、

ひょっとしたらそれよりもいいかもしれん、というぐらい響きました。

 

#12と同系統の曲は、

リードトラックの#3とか#6、

それに#8(この曲のリズムとコーラスワークがまたたまらんのよ)、#9あたり。

 

あとは、冒頭のシャウトとギターソロでの転調が格好いい#1とか

いい具合のフックが効いた#2なんかもおいしくいただけます。

 

これらのリフで攻める曲と対比するようなメロウな曲がまた良くてね。

 

ムードのある前半からギターソロで疾走する#7とか、

叫びに頼らない歌とコードの展開がめちゃ好みな#10とか、

パワーバラード#4とか激しくてメロウな#5とかもいい具合に耳に入ってきてくれて。

 

躍動感とか展開を楽しみたくて常に流していたいアルバムであり、

通しで何周もしたくなる作品。

というのが個人的な印象かな。

 

新世代メタルバンドとかいう括りに対し、

「どうせ音はありがちで、青くて、若いんやろ」という無意味な偏見を抱きがちな、

要するに俺みたいなおっさんリスナーにもお勧めです。

 

しっかし、

叫ぶマットもいいけど、

メロディをきっちり歌ってるときのマットは、

格別にかっこいいね。