2013年3月19日火曜日

今週の一枚 DAVID BOWIE「THE NEXT DAY」

正直に言いますと、

デヴィッド・ボウイについて語るべき言葉を俺は持ち合わせていません。

というのも、ほとんど接してこなかったから。

 

アルバムとして聴いたのは「ジギー・スターダスト」くらいで、

しかもその印象はというと、

「スペース・オディティ」の、どうしようもなく絶望的なんだけれど、

他者との拒絶という意味でどこか共感せざるをえない歌詞に感銘を受けた、ぐらいしか残っておらず。

 

あとは80'sの

「レッツダンス」とか「チャイナガール」とか「モダンラブ」とかを、

たまたま耳にしたり80'sのPV特集みたいなので観たぐらい。

 

それと、デヴィッド・ボウイの曲でいちばん耳に残っているのが「デッドマン・ウォーキング」だったりしまして、

昔からのファンからすれば俺なんぞ話にならんわけです。

 

だって「デッドマン・ウォーキング」って、

いくらデヴィッド・ボウイが時代に合わせてキャラクターと音を変える

カメレオンと呼ばれたりするアーティストとはいえ、

それはないやろというダンスチューンやからね(でも異様に耳に残って俺は好き)。

 

そんな俺がなぜデヴィッド・ボウイのアルバムを買ったかというと、

リードトラック#5を聴いてしまったから。

 

この曲は、静かなのにとてつもなく強烈で、

あまりにも儚く脆く、消えそうな蝋燭の火みたいに頼りないのに、

じわりと浸食してきます。そして突き刺さって抜けなくなります。なりました。

 

おおげさに聞こえるかな。

この曲には、震える、という言葉が似合う。

 

あえて例えるなら現代的な、

あるいは現在の年齢になって達観したデヴィッド・ボウイによる

「スペース・オディティ」の第二章、と言えるのやも。

歌詞の内容というより音楽的な意味でね。

 

そんな#5に惹かれてこのアルバムを手にしたわけですが、

60's後半から70's、さらに80'sにかけての音を再現しているというのが第一印象。

 

だって#1と#2なんか、もろ70'sやし、

#3とか#4なんかは(特にベースラインが)80'sですもん。

 

個人的には#3と#4に代表される80's路線がおもいっきり好み。

#3はイントロだけでぞくぞくしたし、#4はアレンジと歌がね。

色合いの薄い映像とか、夜明けの街を歩いている男とか、

ハードボイルドな雰囲気を連想してしまって。

タイプは違うけれどa-haのハードな楽曲とか、あの感じ。

こういうのに弱いのよ。

 

#3を80's路線と言ってしまうのはちょっと違うのかもしれへんけどね。

80'sのデヴィッド・ボウイの代表曲である「レッツダンス」とかのポップサウンドではないから。

 

ベースラインから80'sという言葉で表現しているけど、

ひょっとしたらこういう曲は70'sにやっているのかもしれません。

そのあたりの正確性に欠けるとことか知識のなさは、

ろくに聴いてなかったモンのたわ言として右から左に流してください。

 

あとは、こっちはまちがいなく80'sなんやけど

随所に現れる変態的なアレンジとすばらしいフックが奇妙に同居してる#11とかは、

ギターソロがまさに、やし、

変態的という意味なら#7が際立っているかな。

エキセントリックでサイケデリックで、ばりばりのプログレッシブロックで。

 

まあ文句なしにいいのは前述の#5なんやけどね。

 

その#5もひっくるめてアルバムとしての感想は、

ひとしきり呑んだあとで流していたいアルバムといったところかな。

 

あくまで

デヴィッド・ボウイのアルバムとしてどうかということを論じるだけの材料と情報がない俺の感想です。

 

ちなみにこのアルバム、高いほうと安いほうがあるけれど、

高いほうに追加されてる三曲がなかなかに完成度が高く、

特に#17がかなり好きなので、高いほうをお奨めしときます。