2013年7月15日月曜日

今月の一冊 「フェア・ゲーム」ヴァレリー・プレイム・ウィルソン他

先月から続けて読んでいたイラク戦争関連のルポについて。

まずは「戦場の掟」スティーブ・ファイナル。

これはイラクで活動していた民間警備会社に同行した記者による著作。

イラク国内で物資輸送の警備を請け負っていたその企業のずさんな業務内容。
そこで働いていた経歴もさまざまな傭兵の姿。
戦争の大部分を民間に委託されたことの弊害。
傭兵を裁く法がないイラク国内でくり返される暴力行為。
そして起こってしまった傭兵の拉致事件について淡々と描いている。

一方「フェア・ゲーム」は、
夫がイラク戦争の大義に疑義を呈したため
CIA諜報員の身分と本名を明かされてしまった著者による自伝。

イラクがニジェールからウラン精鉱を購入したのではという疑惑があり、
その調査を依頼された元外交官の夫が、
戦争機運の高まる国内情勢を憂慮してメディアで発言し始めたことにより、
ホワイトハウス高官によって妻がCIA諜報員であると明かされたのが事の起こり。

二作ともすばらしい本だったので詳細は書きませんが、
それぞれから少しだけ引用を。
改行は当ページの設定の問題により
管理者が勝手にやってしまったことですのでご了承ください。

〜現実には、リスクは中程度どころではなく、誰も認めたがらないほど大きい。
それに、イラクの警備の仕事はフルタイムだ。
ジェットスキーをやっている暇などない。
戦争に切れ目がないので仕事にも切れ目がない。
「それがこの仕事でいちばんひどいところだ。考える時間がない」
ハイウェイを走っているときにコーテが言った。「毎日働きづめだ。
たまには一歩離れて、じっくり観察し、自分に問いかけるべきなんだ。
おれはなんのためにここに来たのか? 
これをやっているほんとうの理由は?
ほんとうにやり甲斐のあることなのか? 
でも出かけていっては攻撃を受けるというくりかえしだ。
そのうちに無感覚になる。そして、ただやるだけになる」〜
「戦場の掟」より

〜同月10月、ジョーは『サンノゼ・マーキュリー・ニューズ』に
「サダムはいかに考えるか」という原稿を発表した。その中でジョーは、
"イラクを無力化しようとする軍事行動、合衆国と国連にとっては
最高となるはずの軍事行動が近づいている。合衆国が求めているのは、
国際的に合法化された乱暴な無力化政策である"と綴っている。
新聞だけではない。
CNNの『ポーラ・ザーン・ショー』、ABCの『タイムライン』、
PBSの『ナウ・ウィズ・ビル・モイヤーズ』にテレビ出演して、
さらに自説を説いた。
ジョーの自説は当時のアメリカにおいては少数意見だった。
彼は、イラクとの戦争はアメリカ政府が市民に約束しているほど
容易に終わるものではなく、建設的な結末も、
もたらさないかもしれないと言い続けた。
ジョーはサダム・フセインに会った最後の外交官であり、
アフリカや中東で長年外交官として勤務した経験から、
この問題について独自の意見を持っていた。〜
「フェア・ゲーム」より。

イラク戦争って、いったいなんやったんやろね。

上記二作を読んでマイケル・ムーアの
「華氏911」の最後のシーンを思いだしたりも。
大義のない戦争で失った命って、
為政者にとってはどういう意味を持つのだろうって。

図書館でたまたま見つけた本に
ブッシュ大統領の発言としてこういう一文が載せられていて、
受賞者動画の取材中に見つけたもんやからメモをなくしてしまって
正確ではないんやけど、たしか「私は感性でやる」。
その前の文章がうろ覚えで、
「過去の大統領は統計などの情報を判断の材料にしていたが」とか、
そういう趣旨だったような。
このあたりは不鮮明なのですみません。

とはいえ、感性で世界一の超大国を動かしてしまう、
そんな大統領を選んだのもまたアメリカなわけで、
それは二大政党制の最大の弊害ではないのかなと。

じゃあ多数の政党が存在する日本はどうかというと、これはこれでねぇ

票が一極集中になりかねない現状において、
今度の参院選には不毛なものを感じずにはいられなかったりはする。
するけれど、それでも民主主義国家に生きているわけだから
投票して数少ない権利を行使せにゃいかんよなと。
でも踏ん張らにゃいかんはずの野党側の争点が
見事にぼやけてしまってて何だかなぁと。

そんなことに思いを馳せた三連休最終日でしたとさ。

ところで、アベノミクスなるものの経済効果を
俺が実感できる日って来るの?