2013年8月23日金曜日

今週の一枚 HAREM SCAREM「Mood Swings2」

オリジナルを持っている作品の
リマスター盤とか再録音盤といったものは、
基本的には手を出さないようにしています。

だってどうしたってオリジナルが基準になるわけやから、
リマスター盤とか再録音盤を聴いてもまちがい探しにしかならへんねんもん。
オリジナル盤を持っていなければ購入対象になるけれど。

特に再録音ってやつは、
たとえば再結成したバンドが新譜の最後に
大ヒットした曲の2008年バージョン!みたいな形で収録したりするけど、
個人的にはなんかなぁと感じる変貌ぶりだったりしまして。

そうなるのも当然なんやけどね。
レコーディング機材も含めて時代がちがうし、
当時より演奏技術は向上しているし、声が変わっていたりもするし、
演者が新たなアレンジを加えたくもなるやろうし。

そのバージョンが今のバンドの音なんだと認めるべきなのでしょうが、
俺なんかは最初に世に出たバージョンこそ
最も尊重されるべきだと思うのです。

だから当初、このアルバムの存在を知り、
ハーレムスキャーレム再結成であの名盤のパート2!と期待したら、
二十周年記念に合わせて何かしようにも
権利関係でオリジナルの音源が自由になれへんから
新たに録音したという経緯らしく、
だったらいいやオリジナル盤も持っていることやしと
流すつもりでした。

ですが。

やはり中身については気になり、
ウェブで試し聴きができたのでどんなもんかとアクセスしてみたら、
再現度の高さにひっくり返りそうになりまして。

ほぼまんま。

高い技術を持ったバンドなのは知っていたけれど、
どうやったらこんな再現度の録音ができるのよ。

表現者として、ミュージシャンとして、
絶対に二十年の成長を入れたくなるはずなんです。
そこをぐっと我慢してオリジナルの再現に徹したプロ魂にしびれました。

で、内容はというと、
元々この作品は俺にとってとても特別な一枚でして、
無人島に持っていくCD10枚を選ぶとしたら?みたいな質問があれば
確実に入るものだったりするわけでして、
はっきり言うと掛け値なしの名作なわけです。

このアルバムの、というか
ハーレムスキャーレムの魅力はなんと言ってもメロディ。

すべての曲に美しく、胸をくすぐられ、
泣きそうになるメロディが入ってます。
誇張じゃないのよ、これが。

いい具合のグルーヴからつき抜けたサビにいたる#1。
クイーンのような分厚いコーラスワークと
「The Show Must Go On」を思わせるサビの#2。
どことなく漂う切なさとポップな曲調がうまく融合した#3。
イントロのカッティングを完全再現し、
一切の隙なく聞き手を翻弄する歌メロから、
これぞロックの躍動感!熱くならないわけがないサビの#4。
ブルージーで土臭く、ハリー・ヘスののびやかな歌にしびれる#5。
Bメロからのサビの激しくも美しい流れに当時も、
そして今も容赦なく持っていかれる#6。

ああ、もうたまらん。

#6で歌っているダレン・スミスはちょっと声が変わって、
テッド・ブレット(サンダーヘッドのヴォーカル兼ギター)のような
荒っぽさになっているけれど、これはこれで好き。
だって前述の無人島云々の質問があったとしたら、
サンダーヘッド「Killing With Style」アルバムが入るほど
好きだったりするので。

泣きっぷりが当時と変わらないインスト#7。
これまたBメロからのサビがえらく耳に残る#8。
そして名曲、最高のバラードのひとつ#9。
イントロも歌いだしもいいけれど、
なんといってもサビにいたるまでの流れがね。
あまりの美しさに呼吸すら忘れる。

#10は唯一、オリジナルとちがうアレンジをほどこしてあるんやけど、
この英断とセンスがずば抜けている。

この#10、オリジナルではアカペラ曲で
俺にはオリジナル盤で唯一ぴんと来ない曲だったのですが、
アコースティックバラードの小作品に仕上げていて、
これが抜群によくなっている!
こういう判断力と実行できる演奏力が才能なんやろうねえ。

そして最高にハッピーなサビが炸裂する#11で本編は終了。

本当、時代を超越する完成度です。

ボーナストラックは、
#12なんかは「HUMAN NATURE」アルバム以降の
ハーレムスキャーレムを象徴するような曲かな。
歌いだしがプリティメイズっぽかったりもするけれど、
サビにはきちんとカタルシスが用意されてて、ええのよ。

#13はちょいとめずらしいタイプの曲かな。リフがね。
キャッチーなサビには、思わずにやりとします。
#14は良質なパワーバラード。メロディの優しさが響く。

感情的な文章になっちゃいましたが、
それもこれも思い入れの強さゆえです。

すべてのロック好きに、
一人でも多くのヒトにこの作品が届けばいいなあ。

2013年8月21日水曜日

近況メモ

本日、とある出版社の編集者および編集長の方と打ち合わせ。

ある程度の流れを組んだ企画より、
もやっとしたまま持っていった企画に興味を持たれる。

はてさてどうしたもんかと、帰る際に三十分ほど歩いてみて、
今回は使えなさそうな案とか、
今回の企画に乗せたらうまくいくかもしれんという案を思いつく。

まずはこの企画を通さにゃね。

担当編集氏がサバスのアルバムを聴いていたり、
先日、当ページでとりあげたFIVE FINGER DEATH PUNCHが気になっていたりと
何かと酒とともに話し始めたら楽しくなりそうな方なので、
しかも同い年なので、
そういう意味でも仕事についても大いに期待しつつ。

そんなこんななので、
現在書いている長編を迅速に、
でもって妥協は一切せずに、
追いつめられたらごくたまに能力以上の力を発揮するはずの自分を信じて、
速度と熱をあげて仕上げにかかります。

それはそれとして、
明日8/22発売の小説新潮九月号に
短編「求愛の音色」が掲載されます。
見本が届いていないので確認はしていませんが、
掲載されているはずです。

「絶対服従者(ワーカー)」とは
似て非なる表現と方向性を持つ物語になりました。
お楽しみいだたければ幸いです

2013年8月13日火曜日

今週の一枚 FIVE FINGER DEATH PUNCH「The Wrong Side Of Heaven And The Righteous Side Of Hell Volume1」

以前からアルバム単位で聴きたいと思っていて、
ものの見事に機会を逃していて、
こういうのは新譜のタイミングで手に入れて聴くのがいちばんやわな、と
バンド名を漠然と頭の片隅に入れていたら、
いつのまにか八月初頭にこのアルバムが出ていて、
ここしかあれへんやろとリーダートラックを視聴し、購入決定。

直撃。

#1が、いい意味でストーン・サワーっぽく、
重く太くうねりながらもメロディが印象的で、
ど真ん中に好みの音でして。

しかもこの曲にはメタルゴッド、ロブ・ハルフォードが参加していて、
完成度が見事という他ない。

超高音シャウトではなく中音という
実はロブはこっちのほうが魅力的というところを
ピンポイントでついているのがいいし、
ロブの魅力がこれでもかと前に出ていながら
バンドのヴォーカリストであるアイヴァンの良さも食われておらず、
誰も損をしていないんよね。

こういう曲でのロブのうまさはずば抜けているなというのも改めて感じたし、
今こそFIGHTを復活させるべきではないのか、
なんてことも思わせてくれる良質コラボ。

このバンド、基本は激烈な重低音曲が武器なんやけど、
激烈さの余韻を残したまま間髪入れずにバラード調の#4に運んでみたり、
#9で流麗なアコースティックギターを聴かせてみたり。
特に#9は、いいよ。アイヴァンのうまさが光っている。
このバンドにグロウルやスクリームは必要あれへんと思えるほどの魅力。

語りを入れたギターインストといった趣きの#11の劇的な展開は、
このバンドの底の深さを味わわせてくれます。
アイヴァンの切々とした語りに絡みつくギターの音色がね、ぞくぞくする。

言ってはいけない言葉の連呼が耳に残って心地いい#5とか、
ロックでありメタルなんやけど哀愁漂う曲調の#7なども
個人的にはかなりお気に入り。
ただし、#7はボーナストラックとして収録されている
デュエットバージョンのほうがいいかなとも思うけど。

いずれにせよ、
端的に言うと、
俺は好き。
めちゃめちゃ気に入った!

あと、このことも書いておかにゃ。

ライブ音源を収録した二枚組も発売されていて、
こっちがまた硬く太い音でいいんやけど、
ライブのMCでアイヴァンが言い放ってます。
「ネクスト・ジェネレーション・ヘヴィメタル」とね。

とかくアメリカの音楽シーンでは
スクリーモだのメタルコアだの、
あげくのはてにはニューメタル(NU-METAL)だのという
奇妙奇天烈なジャンルをつくって区分けをしたがるけれど、
というか意地でもヘヴィメタルという言葉を使わない姿勢を貫いているけれど、
そんなもんどうでもええやんけと言わんばかりの
上記の言葉に、震えました。

娯楽の過剰な細分化は、もうやめようよ。
受け手を分散させるだけでしかないもの。

ということを考えたりもしたアルバムでした。

2013年8月5日月曜日

今週の一枚 30 SECONDS TO MARS「Love Lust Faith + Dreams」

俳優でもあるジャレッド・レト率いるロックバンド。
という説明では音楽について適切に伝えられない気もするけれど。
ちょっと前に出た、これが四枚目のアルバム。

ファーストアルバムがグランジというか暗い作風だったのに対して、
セカンドアルバム「ビューティフル・ライ」で
劇的な展開に磨きがかかりつつも普遍的なロックの音になり、
かつジャレット・レトの歌が表現者として二段階ぐらい上にいってて、
めちゃめちゃ魅力的になったという印象を持ってます。

三枚目のアルバムはいつのまにか出ていて、
気がつかなかったので聴いておらず、
個人的には久々の30SecondsToMars。

このバンドはジャレット・レトの歌もいいんやけれど、
ピアノの使い方と、ドラムがいいんですよね。

特徴的な展開の劇的さはドラムに拠るところが大きく、
あと要所でぽんと入ってきて耳に残るピアノがね、ツボなのです。

このアルバムではセカンドと比べてメロディがポップになっているから、
劇的ではあるけれどハッピーな雰囲気が漂っていて、
そこにジャレット・レトの、悲痛というほどではないけれど
心をにぎりしめて絞りだしたような歌が乗っているから、
何とも言えない不可思議で、優しくて、でも儚げで。

例えようもない音世界になっています。

PVになった#3もいいけれど、
#3同様にポップな#4とか、
セカンドアルバムに収録されていそうな#5、
ほんのちょっとコールドプレイっぽくもある#8や#9がおすすめ。

特に#8と#9は、
ものすごく前向きなエネルギーに満ちていて、いい曲なんだわ。

GOO GOO DOLLSとかこのバンドは、
もっともっと多くのヒトに聴いてほしいなあと
願わずにはいられず、
頼まれてもいないのに自分の作業の合間をぬって
こんなものを書いている私なのでした。