2013年11月25日月曜日

今週の一枚 FIVE FINGER DEATH PUNCH「The Wrong Side Of Heaven And The Righteous Side Of Hell Volume2」

いきなりの断言ですが、前作「Volume1」より良い!
ただ単に完成度が高いのではなく、すんごい作品!
めっちゃ惚れた!

最大の魅力は後述するとしてこの「Volume2」、
前作の「Volume1」がヘヴィな楽曲を中心に構成されていたのに対し
メロウな曲が多くなっていて、バランスが格段によくなっています。

激しく始まる#1から、
コリィか?と言いたくなるストーンサワーっぽい#2での歌いっぷり、
激烈ながらサビの「why should I」が印象的な#3という流れがものすごく自然。

中盤は中盤で、
歌メロを前面に出した#5(サビがまたいいんだ)に
ごつごつした岩肌を転がるような#6ときて、
美しい小品#7(ブルージーなギタートーンが泣ける!)、
アイヴァンのうまさが光るドラマティックなパワーバラード#8、
そして音の数が多く、重く、躍動する#9と隙のない展開。

終盤への不吉さを感じさせる#10は
サビで男泣きな歌を聴かせてくれるし、
#10の不吉さを不穏な空気に変えたうえで
雲間から差す光のようなサビで吹き飛ばしてしまう#11も魅力的。
さらには
西部劇?メタリカ「The Unforgiven」の現代的解釈?といったおもむきの#12では、
こういう味わいってアメリカのバンドにしか出せんよなぁと感心するばかり。

しかし、この作品が「ただ単に完成度が高いアルバム」で終わっていないのは、
上記の楽曲のすばらしさにくわえて
それらの楽曲が霞むほど素晴らしい#4の存在。

あまりこういうことを断言すべきではないんやけど、
とはいえ時が経つのは恐怖するほどに早いもので
すでに今年もあと一ヶ月ちょっとなわけやから、
開き直って言いきってしまうと、
この#4、俺の(勝手な)今年の楽曲ベスト3に確実に入ります。
ベスト1の最有力候補。
名曲!

めちゃめちゃ好き。
理屈ぬきに好き。

こんなところで声高に叫んでもしゃあないんやけど、
この曲はPVを切らなあかんでしょ。
そうすればストーンサワーにおける「スルー・グラス」のような
バンドのキャリアにおいて特別な一曲になりうると思うのです。

イントロのアルペジオから抑えの効いた歌い出し。
圧倒的に美しいサビメロ。
サビの余韻を残しながら次のパートへつながっていくのもぞくぞくするし、
ソロの泣きっぷりはこの作品のハイライト!

作品とは何の関係もない私的な話になるけれど、
この曲のおかげで現在書いている物語の、
まだ俺の頭の中にしかない最後の場面に、
明確に血と肉と色と熱がつきました。
終盤執筆時にはこの曲をひたすらくり返すことになるでしょう。
いや、いいもんもろた。

ちなみに今回も前作「Volume1」同様にデラックス盤みたいなのがあって、
二枚組になっています。
前作がライブCDだったけれど今回はライブDVD。

視聴した感じでは音源そのものは前作のライブCDのものを使っているらしく、
それでいて映像はいくつかのショーや
フェスティバルのものをつなぎ合わせているから、
純然たるライブDVDではなかったりします。

結果としてライブの生々しさが削がれていてちと残念かなとも思うけれど、
このバンドのアリーナロックバンド然としたステージを堪能するには
充分な素材かなとも。

現代のアメリカのバンドならではの、
政治的なメッセージを強く出した曲を作っている一方で、
深刻になりすぎずロックの楽しさを追求しているライブでの
パフォーマンスが好印象でした。

2013年11月11日月曜日

今週の一枚 PROTEST THE HERO「VOLITION」

あいかわらずの変態ぶり。

複雑怪奇な変拍子、多用するタッピング、迷路のような展開。
プロテスト・ザ・ヒーローならではの要素は今回も健在で、
アルバム全体を流れる偏執的なまでのこだわりは
ただただ変態と呼ぶしかない代物。

何の前置きもなく変態的音世界にひきずりこんでくれる#1からしてそう。
歌に入ってからの後ろの演奏者の暴れっぷりと嵐のような流れは、
やっぱりプロテスト・ザ・ヒーローはこれでないと、と
膝を叩かずにいられません。

純然たる変態音楽なのは#3も。
曲の全貌をけっして聴き手につかませないまま、凄まじい展開に次ぐ展開。
それで最後まで飽きさせず聴かせてしまうんだから。

#7なんかはフックのよさも含めて変態的で、
困ったことに俺にはサビの拍が全然読み取れない。
いまだにわかってない。
展開、サビなどなどが、とにかく「らしい」#10なんかもおいしい。

ただ、このバンドがおもしろいのは
複雑でありながら歌メロは聴きやすく耳に残るという部分。

結局、聴く側にとっていちばん重要なのは歌であって、
それが音楽を大衆娯楽として成立させているわけで、
その歌の力を忘れていないところこそ最大の魅力かな。

剛速球の#2などは、
変態リズムとただでは終わらせない流れではあるものの、
サビのメロディがものすごくキャッチーでいい曲だし、
同じく速球の#8も歌いだしで泣けて、激しく速く、激烈で、格好良く、
それでいてバラードにもできそうなサビメロがよいのです。
このアルバムの中でも飛び抜けて完成度の高い一曲。
ソロ明けのアメリカンロック的なのもよいし、
終わりかと思ったところでもうひと展開なのがまた憎い。

いずれの曲も、
このバンドにしては比較的素直なアレンジで、
メロディを簡潔にしたことで以前よりも聴きやすくなって
その分の魅力が増したのではないかな、と。

高い演奏力のあるバンドが
本気で歌ものに取り組むという観点から言えば、
プログレッシブロックバンドの猛者が集まって
五分間のドラマにこだわったエイジアに相通じるものがあるのやも。
音楽性は全然ちがうけど。

そんなふうに思ったのは#11のイントロ。

この歌いだしは反則だわ。
上手い演奏者が引き出しの奥にしまっていたものをそっと出してきて
埃を払って久しぶりにやってみた、というようなおしゃれで軽い雰囲気で、
音楽の魅力という点ではこのアルバムでもずば抜けて輝いている。

曲調はすぐに「ならでは」の激しい渦になっていて、
それはそれでフックまみれで好きなんやけど、
この冒頭の雰囲気で一曲、つくってくれへんかなぁと思わずにはいられない。
あるいはドリームシアターにおける「Wait For Sleep」のような小曲でもいいか
ら。

直球のアレンジが今回は冴えていたアルバムかな。
この路線をこれからもやってくれるなら
次のアルバムはもっとおもしろくなりそう。