2013年11月11日月曜日

今週の一枚 PROTEST THE HERO「VOLITION」

あいかわらずの変態ぶり。

複雑怪奇な変拍子、多用するタッピング、迷路のような展開。
プロテスト・ザ・ヒーローならではの要素は今回も健在で、
アルバム全体を流れる偏執的なまでのこだわりは
ただただ変態と呼ぶしかない代物。

何の前置きもなく変態的音世界にひきずりこんでくれる#1からしてそう。
歌に入ってからの後ろの演奏者の暴れっぷりと嵐のような流れは、
やっぱりプロテスト・ザ・ヒーローはこれでないと、と
膝を叩かずにいられません。

純然たる変態音楽なのは#3も。
曲の全貌をけっして聴き手につかませないまま、凄まじい展開に次ぐ展開。
それで最後まで飽きさせず聴かせてしまうんだから。

#7なんかはフックのよさも含めて変態的で、
困ったことに俺にはサビの拍が全然読み取れない。
いまだにわかってない。
展開、サビなどなどが、とにかく「らしい」#10なんかもおいしい。

ただ、このバンドがおもしろいのは
複雑でありながら歌メロは聴きやすく耳に残るという部分。

結局、聴く側にとっていちばん重要なのは歌であって、
それが音楽を大衆娯楽として成立させているわけで、
その歌の力を忘れていないところこそ最大の魅力かな。

剛速球の#2などは、
変態リズムとただでは終わらせない流れではあるものの、
サビのメロディがものすごくキャッチーでいい曲だし、
同じく速球の#8も歌いだしで泣けて、激しく速く、激烈で、格好良く、
それでいてバラードにもできそうなサビメロがよいのです。
このアルバムの中でも飛び抜けて完成度の高い一曲。
ソロ明けのアメリカンロック的なのもよいし、
終わりかと思ったところでもうひと展開なのがまた憎い。

いずれの曲も、
このバンドにしては比較的素直なアレンジで、
メロディを簡潔にしたことで以前よりも聴きやすくなって
その分の魅力が増したのではないかな、と。

高い演奏力のあるバンドが
本気で歌ものに取り組むという観点から言えば、
プログレッシブロックバンドの猛者が集まって
五分間のドラマにこだわったエイジアに相通じるものがあるのやも。
音楽性は全然ちがうけど。

そんなふうに思ったのは#11のイントロ。

この歌いだしは反則だわ。
上手い演奏者が引き出しの奥にしまっていたものをそっと出してきて
埃を払って久しぶりにやってみた、というようなおしゃれで軽い雰囲気で、
音楽の魅力という点ではこのアルバムでもずば抜けて輝いている。

曲調はすぐに「ならでは」の激しい渦になっていて、
それはそれでフックまみれで好きなんやけど、
この冒頭の雰囲気で一曲、つくってくれへんかなぁと思わずにはいられない。
あるいはドリームシアターにおける「Wait For Sleep」のような小曲でもいいか
ら。

直球のアレンジが今回は冴えていたアルバムかな。
この路線をこれからもやってくれるなら
次のアルバムはもっとおもしろくなりそう。