2014年1月27日月曜日

今週の一枚 WITHIN TEMPTATION「HYDRA」

期待どおり!

と、一言で終わってしまいそうな一枚。

簡単にこのバンドの音について説明すると、
女性ヴォーカルを主軸にしたシンフォニックロック。
ちょい前まではゴシックロックと呼ばれた路線。

元々このバンドは聴き手が期待しているであろう
上記路線から大きく外れることのない作品を常に出していて、
今回も過去の例にもれず、らしい作品に仕上がっています。

といっても完全に過去の踏襲ではなく新しい要素も盛りこまれていて、
最たる要素がラッパー、イグジビットの参加。

ヒップホップにとんと疎いのでWikipediaで調べてみると、
アメリカデトロイト出身のラッパーで俳優、テレビ・パーソナリティーとのこと。

こればっかりはエヴァネッセンスも真似できんやろと言いたくなる
北欧の香りと湿り気を充満させたこのバンドに、
アメリカのラッパーが参加するってどうなん???と、
歌詞カードに掲載されていた
明らかにラッパーな風貌の顔写真を見て思ったのですが、
これが予想以上のすばらしさ!

いや、その前に注記。
上の文章でエヴァネッセンスを否定しているようもに読める文章ですが、
俺はヘヴィロックバンドとしての純度を高めて
アメリカらしい乾いた音に仕上げた3rdアルバムはものすごく大好きです。
念のため。

で、このイグジビットが参加した結果どうなったか、ですが、
誤解を恐れずに言うと、
まあ確実に語弊はあるんでしょうけれど、
個人的な印象としてはリンキンパークのよう。

しかもそれは、
暗さと躍動感を両輪に持ち、歌とラップの配合が絶妙な、
現在ではやらなくなった「メテオラ」アルバムのような雰囲気。

シャロンの声とイグジビットのラップの相性がね、いいんですよ。
よくぞ起用したと、その英断に喝采をあげたくなる完成度。
後半の盛りあがりはこの作品のハイライトです。

もうひとつの変化は、
俺がとてつもなく大好きなヴォーカリスト、
元キルスウィッチ・エンゲージのハワード・ジョーンズの参加。

こっちは予想の範疇におさまるもので、
どうせならもうちょいスクリームを入れて
シャロンの美しい声との対比を、とも思ったけれど、
一方でハワード・ジョーンズのクリーンな歌も大好きなので、
ああやっぱりええ声やなと酔いしれることしきり。

変化ではないが、
うまいところをピンポイントでついてきたなあという要素は、
元ナイトウィッシュ、ターヤとのデュエット。

しかもターヤが参加している#4のリフが、
これはちょいと穿った聴き方なのやもしれんけれど、
ナイトウィッシュの名曲「Dark Chest Of Wonders」を遅くしたようにも聞こえて、
それでいて楽曲はこのバンドらしいキャッチーなものだから、
もはや計画的犯行じゃろ、と。

でも、これこそ勝ちの方程式なんよね。
だって需要があるんやもの。
ターヤの声でこういう曲を聴きたいという欲求は、
ナイトウィッシュファンなら確実に持っているはずやもの。

ホントに、おいしいところをいい具合についてきたなあ。

ゲストが参加した曲を中心に書きましたが、
作品全体はどうかというと、
同じことをやり続けているからこそできる領域と言えるかな。

徹底して高品質。
安心して聴ける。
こういう土台があるからこそゲスト参加という変化が生きている。
そういうアルバムではないかと。

願わくばイグジビットが参加した#3、PVになれへんかな。
で、バンドとしてきちんと共演してくれへんかな。
ハワード・ジョーンズと別録りしたせいで
妙なPVになってしまった#2のようにはせずに。
ということを望むばかりなりです。

おすすめの一品。

最後に、
今回は二枚組デラックスエディッションを購入しましたが、
この作品にかぎらず、
単価をあげるためにむりやり二枚にするビジネスはそろそろ限界ちゃいます?

このバンドらしいアレンジをほどこしたカバー曲というのは、
たしかに聴く価値はあるし、
もはやオリジナルそっちのけやんと言わんばかりなのもおもろいが、
単価を大きくひきあげるだけの価値があるかというと、
はてさてどうなんかな、と。

やりすぎると聴き手から失望され、
ますます市場が縮小するのではないかという危惧をこめて、
追記しておきます。